有機栽培について





有機栽培とは
有機栽培とは農林水産省が認定している「有機JAS」規定の条件を満たした栽培方法です。農薬や化学肥料などの化学物質に頼らない、太陽・水・土・そこに住む微生物など自然の恵みを生かした栽培方法のことを指します。


有機JAS規格とは
JASは日本における農業の規格ですが、その中でも「有機」JASは別に規程、許可を得るために守らなければならない固有の決まりがあります。 有機食品作りのルールは、『種まき又は植え付けする2年以上前から畑の土に禁止された農薬や化学肥料を使用していないこと』『栽培中も化学物質による汚染がないこと』 『畑や施設・用具などにも化学物質の汚染や飛散混入がないこと』など厳しい決まりが多くあります。



この規格をクリアし検査認証を受けた作物や加工品だけが「有機野菜」 「有機○○」「有機栽培」「有機農産物」「オーガニック」と、表示することを認められています。


島根県出雲市で有機栽培


現在、いづも農縁は出雲地方に広がる6.2haの有機JASの認定を受けた農園でモロヘイヤ・えごまの有機栽培を行っています。 有機JAS認定されている農産物は、現在日本で全体のわずか0.6%と言われています。 農薬や安価な化学肥料が使えない為、草取りや虫取りなどの手間と時間が多くかかり、また病害虫が発生しやすい為、 どうしても生産性が低くなってしまいます。



しかし、野菜や作物が元気に育つために科学的なものは必要ありません。 科学的なものを使わない上で、野菜が育つ環境を整えることが農家の技術力だと捉えています。 そして、その環境下で育った元気な野菜をお客さまにお届けするために野菜づくりに励んでいます。


有機栽培と慣行栽培の違い
有機栽培と慣行栽培の違いは農業に対するアプローチ(考え方)の違いだと思っています。 作物は成長する上で3つの敵を抱えています。それは@病害A害虫B雑草です。 敵として挙げたものは全て自然界に存在するものですが、作物にとっては自分を攻撃してくる、または成長を阻んでくる存在です。



そのリスクに対し、農業者はどうアプローチするのか?というと2つの方法があります。一つはリスクになるものを根絶やしにしようというもの。 それには除草剤や農薬が使われるのですが、これも作物を元気に育てようという考え方の一つと理解しています。

もう一つは自然の循環を活用する、つまり自然が持っている力を活かし、作物を元気に育てることでリスクを回避しよういうもの。有機栽培はこれに当たると考えています。

農家のこだわり


私たちは有機JASの認定を受けているから、規格通りであるからという理由で安心・安全であると思ってはおりません。
「無農薬」=「安全」とは限らない
例えば、農薬を使わなければ人間にとっては安全性が高まることは言えると思いますが、作物にとっては農薬を使わないことで虫から襲われる危険が生じます。 そうなると虫を避けるために、植物が自分の身体のなかに「天然の農薬」を作ることがあるという研究もあり、虫だけでなく人間にも悪いものである可能性があります。
有機農家の誇り
無農薬でも虫に蝕まれ放題の栽培方法では、まったく安全とは言い切れませんし、規格や規程で決められているものを守るだけでは、安心できる野菜が作れるものでもないと考えています。 規格を守るという以上の、有機農家としての誇りを持ってお客様に送り出せる製品にしていかなければなりません。



目には見えず、表面に現れないものを大切に考え、私たちだからできる独自の、より安全・安心または、より役に立つ野菜作りをしていくことを目指していきます。
有機栽培をする理由1


当社が有機栽培をする大きな理由は「元気に育つ野菜が元気な生命力を持ち、それを食べる人たちに元気な生命力を与える」と考えるからです。
「天地有機」
有機栽培の「有機」とは元々、中国の言葉「天地有機」からきています。「機」はシステムとは仕組みのことで、「天地には背名が育つ不思議な仕組みがある」という意味です。
除草剤を使えば楽になるけど…
自然は大変複雑で、しかも絶妙なバランスがとれています。例えば、除草剤を使うと草がなくなり、草刈りという仕事が大きく軽減されて楽になります。
しかし、除草剤を使うことで草だけでなく土の中にいる多様な生菌をほとんど死滅させ、生命の循環システムが崩れてしまいます。
実は、虫に食べられやすい野菜って…
また不思議なことに同じ条件下で葉野菜を栽培しても、虫にものすごく食べられている野菜とほとんど食べられていない野菜があります。 「虫に食べられている野菜ほど安全な野菜」とよく表現されていますが、実は弱っている野菜が集中的に食べられてしまう傾向にあるのです。 弱っている野菜でも、農薬を散布すれば虫には食べられることはないかもしれませんが、それが弱った野菜であると気付かず出荷してしまうかもしれません。 「農業を中心に健康を追求する」農家としては許されざることです。
旬の野菜が一番!


さらに元気な生命力を持つ野菜を育てるには、旬の時期に育てるのが一番です。 例えばホウレン草は冬が旬の野菜ですが、品種改良を重ねたり、ハウスで栽培したり一年中スーパーに並んでいますが、味や栄養素が旬のものに全く敵わないのはご存知のとおりです。

有機栽培をする理由2


「持続可能な農業」であり「循環型の農業をしながら、永く続けていける農業をする」というのがもう一つの大きな理由です。
よりよい土を残す


例えば、田んぼや畑に化学肥料を入れると、肥料の三要素であるチッ素、リン酸、カリウムといった栄養素により作物が育ちます。 ただ無機質なものを土に入れても土自体は育たないので、ずっと入れ続けなければいけません。 一方、有機の堆肥を入れると、土中に数多くいる生菌が活発に動き、土がいわゆる団粒構造になって保水性や保肥性や通気性を持つ効果があり、いつでも作物が育つ状況の土になります。 有機栽培を行うことで、よい土を残していくということに意味があるのではないかと思います。
農薬を使い続けると…
また、農薬を使い続けると、虫は命を守るために農薬に対する抵抗ができて強くなります。 農薬は使い続けると、虫は命を守るために対する耐久ができて強くなります。 人工的に合成されたの農薬が急速に普及してから70年ほど経ちますが、その間にも虫は明らかに強くなっています。 虫が強くなるとそれに伴い農薬も新商品が必要になってくるのですが、こういうことをこの先ずっと続けて行った時にどういう状況になるのか不安が募ります。
日本の食料自給率
また、日本の食料自給率は40%を下回るうえ、国内で流通する化学肥料の原料は全て輸入に頼っています。 普段はそれでも困らないのですが、輸出国の事情が変わったり、世界に何かが起こったりすると、日本の食料事情はたちまちに悪化してしまいます。 実際にイギリスはかつてそういう危機を迎えたことがあり、現在は農業にとても力を入れています。 そして、国内で流通する化学肥料の原料であるチッ素、リン酸、カリウムは実は全て輸入に頼っており、そういう時点では我が国の食料自給率は限りなく0%に近いものとも言えます。 その一方で、肥料や堆肥となるべき牛や豚の糞尿の大部分は活用されず、国内の酪農家が処分に困っているという現状があります。
持続可能な農業


この状況は有機栽培という農法でただちに解決できるという訳ではないのですが、草を食べる牛などの動物の糞尿が土に帰り、そこからまた植物が生えてくるという自然の循環システムを、 出来る限り守っていきたいのです。 このように「持続可能な農業」を目指して有機栽培をする意義は、目に見えて効果があるというものばかりではありませんが、長期的に考えると人にも自然にも、きっと有益だと信じています。 元気な野菜作りを大切にしながら、自然が循環していく環境を大切にする。この両立が有機農業の意義であり、結果として期待されている安心・安全に繋がるのだと考えています。